安田寿明「マイコンピュータ入門」

日焼けやシミ、食事をこぼした跡が付いた古本が並ぶ本棚に、一際ボロボロのブルーバックス(講談社)がおいてある。安田寿明著「マイコンピュータ入門」である。
「世の中にはマイクロコンピュータなるものがあるらしい」という噂が中学生の頃からあった。今でこそ、パソコンといえば、ジャパネットの通販商品として家電扱いされているが、当時は電卓すら手にするのも希なこと、2のルートを計算して、人世人世に人見頃…と確認して、更に下の桁の数字があるのを見て感動していた時代である。ましてや、コンピュータとなれば神様仏様の世界の話であり、そんなものに触れるなどと恐れ多いことであった。テレビアニメや特撮でも、コンピュータが出てくれば何でも解決、無敵のヒーロー(あるいは敵役)である。
しかるに、この本の序章は「神でなくなったコンピュータ」である。この人は何を言い出すのだ、と思いつつページを捲っていくとコンピュータ業界の裏話やワンチップマイコン(今のMPU)開発による自分だけのコンピュータを持つ将来の姿が語られていた。
自分の家には中古も含め何台もコンピュータがある、との記述に驚いたが、挿絵には机の上や中にキーボードが並び「どこをあけてもコンピュータ」とある。今や無数のマイクロプロセッサに囲まれ暮らしている自分の生活そのものである。まさに予言の書である。
この本が、中学生以来何度も引っ越しを続けたにもかかわらず、いまだにしぶとく付いてきているのは、この予言の成就する様を本とともに確認をして来たからに他ならない。
今でこそ「パソコンアレルギー」という言葉は死語になりつつあるが、この病気に罹らないで済んだのは、この本のおかげだ。
しかも技術的な内容にもかかわらず、今読んでもコンピュータの原理を理解することが出来、やはり相当にコンピュータのことが分かるだけでなく、将来の見極めができる人物なのだろう。惜しいことに、TRON潰しにマイクロソフトのお先棒を担ぎ米国寄りに動いたと一部では評判は良くないが残念である。誰しも神様ではないので、この問題一つで評価というのも気の毒である。
卓越した氏の先見性の例として、子供の教育上問題のある有害プログラム(ソフト)の規制やカラーグラフィックディスプレイの発達によるビデオの衰退(インターネット等での動画)を30年以上前に予言していたのである。
色々なことを勉強させてもらったし、これからも手元に置いておきたい一冊である(まるで文学作品の様だが)。
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